BPO

BPOを安全に活用するためのセキュリティ対策と委託先選定のチェックポイント

こんにちは。BPOサービスを提供するカンテックのライターチームです。

近年、業務効率化や人手不足の解消を目的に、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の導入が広がりを見せています。しかし、個人情報や機密データを依頼先にも共有する機会がある以上、サイバー攻撃や内部不正といったセキュリティリスクへの対策が欠かせません。

この記事では、BPO導入時に押さえるべき主な情報漏えいリスクやその影響を整理し、安全な委託先を見極めるためのチェックポイントや企業側の備えについて解説していきます。

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Contents
  1. BPOにおけるセキュリティリスク
    • 外部からのサイバー攻撃による情報漏えいリスク 
    • 業務オペレーション上のヒューマンエラーによる漏えいリスク
    • 委託先内部の従業員による不正行為・情報の持ち出しのリスク
  2. BPOで情報漏えいが発生した場合の影響 
    • 企業ブランド・社会的信用の喪失と顧客離れ
    • 調査・対応にかかるコストと賠償責任の発生 
    • 個人情報保護法などによる法的ペナルティの可能性 
  3. BPOで取り扱われる主な個人情報
  4. BPO委託先の選定時に確認すべきセキュリティ体制のチェックポイント
    • 入退室管理・監視体制など物理セキュリティは整備されているか
    • プライバシーマークやISMSなど認証・運用基準に準拠しているか 
    • クラウドやデータ送受信時の暗号化・アクセス制御がされているか
  5. 導入前に企業側ができるセキュリティ対策
    • セキュリティ要件を委託契約書に明記する 
    • 秘密保持契約(NDA)を徹底する 
    • 定期的なモニタリングや監査の仕組みを設ける  
  6. まとめ

BPOにおけるセキュリティリスク

BPOでは、外部企業と業務を連携して遂行するにあたり、顧客情報や社内データを共有する機会が多くなります。そのため、社内で完結する業務とは異なるセキュリティリスクに注意が必要です。ここでは、BPOに関する代表的なリスクについて解説します。

外部からのサイバー攻撃による情報漏えいリスク 

BPOでは、委託先のシステムがサイバー攻撃の標的になることで、顧客情報が漏えいするリスクがあります。

特にランサムウェアや不正アクセスによる被害が近年増加傾向にあり、2024年に上場企業で発生した個人情報漏えい・紛失事故189件のうち、原因の約6割(60.3%)がウイルス感染や不正アクセスによるものでした。業務を外部に依存するほど、攻撃対象となる範囲が広がるため注意が必要です。情報資産の保護体制を委託先にも求める視点が重要といえます。

※参考:2024年上場企業の「個人情報漏えい・紛失」事故 過去最多の189件、漏えい情報は1,586万人分 | TSRデータインサイト | 東京商工リサーチ

業務オペレーション上のヒューマンエラーによる漏えいリスク

人為的なミスによる情報漏えいもBPOにおけるリスクの1つです。メールの誤送信や資料の置き忘れ、記録媒体の誤廃棄など、日常的な業務のなかで発生する可能性があります。

株式会社東京商工リサーチが公表した「2024年上場企業の個人情報漏えい・紛失事故」調査では、上場企業が起こした事故全体のうち、32.1%がヒューマンエラーによるものとみられます。委託先の教育体制やマニュアル整備の有無も確認すべきポイントといえるでしょう。

※参考:2024年上場企業の「個人情報漏えい・紛失」事故 過去最多の189件、漏えい情報は1,586万人分 | TSRデータインサイト | 東京商工リサーチ

委託先内部の従業員による不正行為・情報の持ち出しのリスク

BPO先の従業員による不正行為や情報の持ち出しも、見逃せないリスクです。株式会社東京商工リサーチの調査によると、2024年に上場企業とその子会社で発生した「個人情報漏えい・紛失事故」189件のうち「不正持ち出し・盗難」が原因となったケースは14件でした。

発生件数は少ないものの、1件当たりの平均漏えい人数は22万4,782人と被害の大きさが際立っています。内部不正を防ぐには、アクセス制御や監視体制の有無を事前に確認しておくことが重要です。  

※参考:2024年上場企業の「個人情報漏えい・紛失」事故 過去最多の189件、漏えい情報は1,586万人分 | TSRデータインサイト | 東京商工リサーチ

BPOで情報漏えいが発生した場合の影響 

BPOを活用する上で、情報漏えいが発生した場合の影響は極めて深刻です。単なる技術的な問題の修正にとどまらず、企業の信用失墜、法的責任にまで波及する可能性があります。ここでは、漏えいがもたらす主なリスクについて解説します。

企業ブランド・社会的信用の喪失と顧客離れ

情報漏えいが発生すると、企業の信用は瞬時に損なわれます。顧客や取引先との信頼関係が崩れ、ブランド価値の低下や取引停止といった深刻な影響を招きかねません。その結果、顧客離れが進行し、売上や収益にも大きな打撃が及びます。

また、報道やSNSを通じて情報が拡散されることで、風評被害や株価の下落といった二次被害にもつながります。長年かけて築いた企業イメージや社会的評価が一気に失われる可能性もあり、その回復には多大な時間とコストを要するでしょう。

調査・対応にかかるコストと賠償責任の発生 

情報漏えいが起これば、企業は全社を挙げて対応に追われることになります。原因調査には、デジタル機器の解析や保全などを行う専門的な調査手法(フォレンジック対応)が必要となり、その費用だけでも数百万円かかることも珍しくありません。

加えて、被害者への通知や謝罪対応、外部への説明などにもリソースを割く必要が出てきます。さらに損害賠償請求を受けた場合、訴訟費用や和解金の支出が、経営を圧迫する事態に発展する恐れがあります。

個人情報保護法などによる法的ペナルティの可能性 

漏えいした情報が個人情報に該当する場合、企業は個人情報保護法などによる法的責任を問われます。

具体的には、罰金刑が科される可能性があります。また、行政からの指導や是正命令に従わない場合、さらに重い処分を受けることも想定されます。

こうしたリスクを避けるには、平時からの体制整備とコンプライアンス意識の定着が不可欠といえるでしょう。

BPOで取り扱われる主な個人情報

BPOでは、氏名や生年月日といった基本的な個人情報のほか、指紋・顔認証などの身体的特徴データ、マイナンバー、病歴や信条などの「要配慮個人情報」も取り扱われることがあります。 これらの情報は種類ごとに法的な取り扱いルールが異なり、本人同意や利用目的の限定などが求められます。

特にマイナンバーは法律で利用範囲が厳格に定められており、委託先にも厳重な管理体制が必要です。BPOを導入する際は、こうした情報を正しく扱える体制かを必ず確認しましょう。

BPO委託先の選定時に確認すべきセキュリティ体制のチェックポイント

BPOの委託先を選定する際には、業務の質だけでなく情報セキュリティ体制の確認が欠かせません。特に個人情報を取り扱う場合、入退室管理などの物理的な対策システムやシステム上の制御、運用ルールの整備状況を総合的に見極める必要があります。ここでは注目すべき主なチェック項目について解説します。

   

入退室管理・監視体制など物理セキュリティは整備されているか

BPOでは、オフィスや作業エリアへの入退室管理が適切に行われているかが重要です。たとえば認証カードによる入室制限や、監視カメラによる常時記録、死角のない警備体制などが揃っているかを見極める必要があります。

施設面の対策が不十分な場合、内部不正や外部からの侵入によって重大な情報漏えいが発生する恐れがあります。なお、社内にセキュリティエリアを設け、機密情報を扱う空間を明確に分離している企業は信頼性が高いと言えるでしょう。

プライバシーマークやISMSなど認証・運用基準に準拠しているか 

情報管理体制の信頼性を判断する上で有効なのが、第三者機関による認証制度の取得状況です。プライバシーマークやISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)などの認証は、厳格な基準に基づく運用体制を満たしている企業のみに付与されます。

これらを取得しているBPOサービス企業であれば、一定水準以上の管理体制を整えていると考えられます。選定時には、単に取得の有無を見るだけでなく、有効期限や更新状況まで確認しておきましょう。

  

クラウドやデータ送受信時の暗号化・アクセス制御がされているか

クラウド環境で個人情報を取り扱う場合や、委託先とデータをやりとりする場面では、通信経路と保管先の両方でのセキュリティ対策が不可欠です。具体的には、ファイル送信時の暗号化や、アクセス制限・多要素認証の導入といった技術的な措置が講じられているかを確認しましょう。

また、共有リンクの有効期限設定や操作ログの保存といった細かな運用ルールも重要です。こうした技術的対策が適切に整備・運用されているかを確認し、総合的にセキュリティレベルを評価することが求められます。

導入前に企業側ができるセキュリティ対策

BPOの活用にあたっては、委託先のセキュリティ体制だけでなく、発注元である企業側の事前準備も重要です。特に契約や監査などの仕組みを通じてリスクを最小化することが求められます。ここでは、導入前に企業側が講じておくべき代表的な対策について解説します。

セキュリティ要件を委託契約書に明記する 

BPOを導入する際は、セキュリティに関する要件を委託契約書に明文化しておくことが重要です。たとえばデータの管理方法やアクセス権限の範囲、違反時のペナルティまで具体的に取り決めておけば、万が一のトラブル時も対応しやすくなります。

また、SLA(サービスレベルアグリーメント)などを活用し、委託先と合意したセキュリティ水準を数値で定めておくと、業務品質の維持にも役立つでしょう。契約内容が曖昧なままだと、トラブル発生時に責任の所在が不明確になり、迅速な対応が難しくなる恐れがあります。

秘密保持契約(NDA)を徹底する 

業務を外部に委託する際は、秘密保持契約(NDA)の締結が必須です。NDAでは、取り扱う情報の定義や保護義務、漏えい時の責任範囲などを明記しておく必要があります。これにより、委託先が情報を適切に管理すべき法的義務を負うため、リスク軽減につながります。

なお、NDAは形式的な書類ではなく、実効性のある内容になっているかが重要です。契約のテンプレートを使い回すのではなく、業務内容に応じて細部まで検討しましょう。

定期的なモニタリングや監査の仕組みを設ける  

BPOを安全に運用するには、委託後の継続的な監視と評価が欠かせません。定期的にセキュリティ対策を確認し、不備や改善点があれば早期に対処できるようにすることが重要です。たとえば、アクセスログの確認や現地訪問によるチェック、第三者による監査などを取り入れることが効果的です。

また、委託先と協力して改善点を共有することで、透明性と信頼性の向上につながります。こうしたモニタリングを継続的に行わなければ、当初のセキュリティ対策も形だけのものとなり、重大な漏えいやトラブルを見逃すリスクが高まります。

まとめ

BPOは業務の効率化やリソース最適化に役立つ一方で、情報漏えいや内部不正といったセキュリティリスクへの備えが欠かせません。委託先の体制だけでなく、企業側の契約・監査といった事前対策も重要です。委託先の選定では、認証取得状況や運用ルール、実績などを多面的に確認し、信頼性を見極める必要があります。

株式会社カンテックは、創業50年以上の実績を持つ情報処理のプロフェッショナル集団です。金融・官公庁を中心に200社以上の支援実績があり、安心して業務をお任せいただけます。

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