生産性向上

RPAとBPOの違い・相乗効果とは?業務改善を実現する組み合わせ戦略を解説

こんにちは。BPOサービスを提供するカンテックのライターチームです。業務効率化が求められるなか、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、さらにはBPR(業務改革)といった手法が注目を集めています。

ただし、それぞれの違いや目的を正しく理解しないまま導入すると、かえって業務が煩雑になりかねません。この記事では、RPA・BPO・BPRの特徴と違いを整理し、各サービスを併用するメリットや注意点について解説していきます。

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Contents
  1. RPAとは定型業務を自動化するデジタル労働力
    • RPAで自動化できる業務の具体例
    • RPAが活躍する業界と導入の背景
  2. BPOとは業務を外部に委託する経営手法
    • BPOの対象となる業務領域
    • BPOの導入目的と企業側のメリット
  3. BPRとは業務そのものを根本から見直す改善アプローチ
    • BPRの進め方と必要な視点
    • BPRと業務改善の違い
  4. RPAとBPOの違いと使い分け方
    • RPAは「自動化」、BPOは「外注化」
    • 対象業務や導入目的の違い 
    • BPRとの関係性も踏まえた使い分けの考え方
  5. RPAとBPOを組み合わせるメリット
    • 人的コストと作業時間を大幅に削減できる
    • 業務標準化と品質安定につながる 
    • BPO先でもRPAを活用することで効率化につながる
  6. RPAとBPOを組み合わせる際の注意点
    • 業務フローの整理・標準化が前提になる
    • 委託先との役割分担と情報管理ルールを明確にする
    • RPA導入・運用の初期コストと人的リソースも考慮する
  7. まとめ

RPAとは定型業務を自動化するデジタル労働力

RPAは、人の手で行っていた定型業務をソフトウェアロボットにより自動化する仕組みです。業務効率化や人手不足の解消を目的に、多くの企業で導入が進んでいます。ここでは、RPAの具体例や活躍する業界などを紹介します。

RPAで自動化できる業務の具体例

RPAが得意とするのは、定型的で手順が決まっているパソコン上の業務です。たとえば、請求書の入力処理や受発注管理、営業リストの整備、給与計算などが代表例です。人の判断を必要としない繰り返し作業と相性が良く、処理ミスの削減や業務スピードの向上が期待されます。

メールの添付ファイル保存や、ファイル名の変更といった単純作業も自動化でき、担当者はより付加価値の高い業務に専念できるようになります。

RPAが活躍する業界と導入の背景

RPAは、金融・保険・物流・製造など、事務処理が多い業界で幅広く活用されています。背景には、働き方改革による労働時間の見直しや、生産性向上への社会的要請があります。

特に日本では人手不足が深刻であり、24時間稼働できるRPAの導入は人材確保の代替案としても注目されています。ただし、RPAは複雑な判断を要する業務と相性が悪く、人と役割を分けて活用する視点が重要です。

BPOとは業務を外部に委託する経営手法

BPOとは、自社の業務プロセスの一部を外部の専門業者に委託する経営手法です。単なる外注依頼とは異なり、業務全体の設計や運用も含めて任せることが特徴です。ここでは、BPOの対象業務や導入メリットについてわかりやすく解説します。

BPOの対象となる業務領域

BPOはおもにノンコア業務を対象に導入されます。代表的なものは人事・経理・総務などのバックオフィス業務や、コールセンター、IT運用、マーケティングなどです。企業にとって重要度が相対的に低く、標準化しやすい業務が委託対象となります。

また、同じ業務でも企業ごとに重要性や役割は異なります。そのため、BPOの対象とすべきかどうかは一律ではなく、自社にとっての業務の優先度や負担、外注化による効果を踏まえて判断する必要があります。

BPOの導入目的と企業側のメリット

BPOを導入する最大の目的は、コア業務へ経営資源を集中させ、全体の業務効率を高めることにあります。外部委託によって自社の人材や時間を戦略的な業務に振り向けられるほか、教育や設備投資の負担も軽減できます。

また、委託先が持つ専門的なノウハウを活用することで業務品質の向上が期待でき、業務費用を変動費として扱えるようになるため、コスト管理も柔軟になります。さらに、法改正やリスクへの対応もスムーズになり、安定した業務運用が実現しやすくなります。

BPRとは業務そのものを根本から見直す改善アプローチ

BPRとは、既存の業務の流れや仕組みを根本から見直し、抜本的な改善を図るアプローチです。部分的な効率化ではなく、業務の再設計を通じて全体の最適化を目指すことが特徴です。ここでは、BPRの具体的な進め方や、よく混同されがちな業務改善との違いについて解説します。

BPRの進め方と必要な視点

BPRは、業務改革が必要な部署やプロジェクト単位で発足し、経営層が方針を示した上で現場と一体となって進めるのが一般的です。目的は、非効率や部門間の分断など、既存の業務構造が抱える根本課題を解消することです。

またBPRは、現状の延長線ではなく「あるべき姿」から逆算して業務や組織の再設計を行います。外部の専門家を交え、IT活用や権限見直しなどの手段を組み合わせることも重要です。

BPRと業務改善の違い

業務改善は、既存の業務フローを保ちながら、効率化や無駄の削減を図る手法です。現場主導で進めやすいものの、大きな環境変化には対応しきれない場面もあります。

一方で、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)は、業務の枠組みそのものを抜本的に見直し、全体の最適化を目指すアプローチです。変化の激しい環境下でも柔軟に対応できる一方、社内に抵抗が生まれやすく、経営層による明確な方針と強いリーダーシップが求められます。

RPAとBPOの違いと使い分け方

業務効率化の手段として注目されるRPAとBPOですが、その目的や役割は大きく異なります。どちらも人的リソースを補完する手法でありながら「自動化」と「外注化」という本質的な違いがあります。ここでは、RPAとBPOの違いや適切な使い分け、BPRとの関係性について解説します。

RPAは「自動化」、BPOは「外注化」

RPAはソフトウェアロボットによって業務を自動処理する「デジタル化の手段」です。一方、BPOは業務そのものを外部に委ねる「経営戦略の一部」です。RPAは定型業務の効率化を目的とし、社内リソースを前提に運用されますが、BPOは人手・ノウハウを外部から調達する形で業務を担います。

両者は対立する選択肢ではなく、補完的に活用することが可能です。

対象業務や導入目的の違い 

RPAは、ルールが明確で繰り返し処理が多い定型業務に適しており、おもに社内の作業効率を高めるために導入されます。一方でBPOは、業務の専門性やコスト負担の大きさ、人手不足といった課題を外部資源で補う目的で活用されます。

対象業務も異なり、RPAは事務処理やデータ入力、BPOはコールセンターや経理、人事など幅広い領域に対応します。

BPRとの関係性も踏まえた使い分けの考え方

BPRは業務全体を再構築するアプローチであり、そのなかでRPAやBPOは「手段」として活用されます。

たとえばBPRのなかで、非効率な工程を洗い出し、定型処理にはRPA 、属人的業務にはBPOを適用するといった設計が可能です。つまり、BPRが業務改革の「設計図」なら、RPAとBPOは「実行手段」として位置づけられる関係にあります。

RPAとBPOを組み合わせるメリット

RPAとBPOは、それぞれ異なるアプローチで業務を効率化しますが、併用することで相乗効果が期待できます。ここでは、組み合わせによって得られるメリットについて解説します。

人的コストと作業時間を大幅に削減できる

RPAとBPOを併用することで、人が行っていた反復作業を自動化、さらにその運用自体を外部に委託することが可能になります。

これにより、社内での工数削減に加え、採用・教育といった間接的なコストも抑えられます。定型業務の負担を一気に軽減できるため、限られたリソースを戦略業務へと集中させやすくなるのも大きなメリットです。

業務標準化と品質安定につながる 

RPAはルールに従って処理を行うため、導入にあたっては業務手順の標準化や定型化が不可欠です。その過程で業務の棚卸しや整理が進み、全体の効率化にもつながります。

さらにBPOを組み合わせることで、担当者に依存しない体制が整い、作業のばらつきを抑えながら処理精度を維持できます。どの拠点でも一定の品質を保てるようになり、結果として内部統制や監査への対応力も高まります。

BPO先でもRPAを活用することで効率化につながる

近年では、BPO企業側がRPAツールを活用し、自社内の処理効率を高めるケースも増えています。たとえば、受託業務の一部にRPAを導入することで、処理スピードが向上し、納期短縮やコスト圧縮を実現しています。

自社でのRPA導入が難しい企業でも、BPO経由で間接的に自動化の恩恵を受けられることはメリットといえるでしょう。

RPAとBPOを組み合わせる際の注意点

RPAとBPOを併用すれば大きな効果が期待できますが、導入にあたってはいくつかの注意点も存在します。業務の可視化や委託範囲の明確化を怠ると、かえって混乱を招く恐れもあります。ここでは、併用時に押さえておきたい注意点について解説します。

業務フローの整理・標準化が前提になる

RPAとBPOを併用するには、まず業務フローを明確にし、手順を標準化しておくことが不可欠です。フローが曖昧なままでは、RPAの自動化ロジックが正しく機能せず、BPO先との認識ズレも生じやすくなります。

導入前に業務一覧や手順書を整理し、必要なプロセスを見直すことが、スムーズな移行と安定運用につながります。

委託先との役割分担と情報管理ルールを明確にする

RPAとBPOを併用する際は、委託先と自社の役割を明確に定める必要があります。曖昧なままでは、運用中のトラブルの対処や責任の所在が不明瞭になりやすくなります。

また、個人情報や機密データを扱う場合は、情報の取り扱いルールや監視体制を整えることも重要です。プロセスの明文化や管理項目のすり合わせもしっかりと行いましょう。

RPA導入・運用の初期コストと人的リソースも考慮する

RPAは導入後も保守・メンテナンスが必要であり、継続的な運用には一定のコストと担当者のスキルが求められます。業務変更時には、設定の見直しも発生するため、内製か外注かを含めて体制を検討する必要があります。

RPAの導入による短期的な効果だけでなく、長期的な運用維持にかかる負荷もあらかじめ想定しておきましょう。

まとめ

RPAとBPOは、それぞれ異なる特性を持ちながらも、適切に組み合わせることで業務効率化やコスト削減に大きな効果を発揮します。さらに、BPRと組み合わせることで、単なる部分的な改善だけではなく、全体的な最適化を見据えた業務改革も可能になります。

ただし、導入にあたっては業務フローの整理や情報管理体制の明確化、初期運用体制の確保といった準備が欠かせません。カンテックでは、高セキュリティな国内拠点で、在宅業務を行わずにBPOサービスを提供しています。

業務プロセス全体を見通した設計・運用に強みがあり、特に金融業界との長期的な取引を通じて培った実績があります。BPOの導入を検討している方は、ぜひご参考ください。

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