こんにちは。BPOサービスを提供するカンテックのライターチームです。
業務効率化を進める企業において、適切な業務プロセスの改善は、生産性向上や属人化防止などの効果が期待できます。この記事では、業務プロセスの具体的な意味や業務フローとの違いといった基礎知識から、業務プロセス改善の進め方、成功のポイントまで解説します。役立つツールやサービスについても紹介するので、ぜひご参考ください。
業務プロセスとは
業務プロセスとは、企業内で行われる業務の一連の流れを指し、各業務が連携しながら最終的な価値の創出につながる仕組みを表す用語です。
企業の活動は、個別の業務が連なって成立しており、この流れを明確にすることで、全体像の把握や業務の最適化が可能になります。また、業務プロセスを適切に管理することで、効率化や品質向上を図ることが可能です。
業務プロセスと業務フローとの違い
業務プロセスと似た言葉に「業務フロー」があります。業務フローとは、個別の作業における開始から完了までの一連の手順を指します。図表や記号を使い、各作業の流れや決定ポイントを図式化することが一般的です。いくつかの業務フローが連携することで、全体的な業務プロセスが形成されると考えるとよいでしょう。
業務プロセス改善とBPRとの違い
業務プロセス改善は、現在の仕組みを活かしながら、非効率な部分を見直して業務の質やスピードを向上させる取り組みです。一方、BPR(Business Process Re-engineering)は、既存の業務の枠組みにとらわれず、業務の流れそのものを抜本的に再設計する手法です。部分的な改善を目指す業務プロセス改善に対し、BPRは全体を再構築するアプローチといえます。
業務プロセスの改善が重要視される背景・理由
業務プロセス改善への関心が、多くの企業で高まっている背景や理由について解説します。
QCD改善し生産性が向上につながる
業務プロセスの改善は、企業の生産性向上に直結する重要な取り組みです。多くの企業に存在する日常業務のムダな作業や非効率なオペレーションを改善することで、大幅な効率化を実現できます。
また、効率的な業務プロセスの構築により、生産管理の軸といえるQCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)の3つの要素の改善にもつながります。結果的に従業員の労働環境も改善され、相乗効果から生産性の大幅な向上が期待できます。
属人化防止などリスクマネジメントになる
業務プロセスの改善には、業務の属人化やブラックボックス化を防ぐ効果があります。具体的には、業務を可視化・標準化することで、誰が担当しても同じ品質で遂行できる体制を整えることが可能です。その結果、作業ミスの削減やサービス品質の向上にもつながり、リスクマネジメントの一環として有効です。
業務プロセスを改善する6ステップ
業務プロセス改善を効果的に進めるための手順を解説します。
1.現状の業務プロセスを可視化する
まずは現在の業務状況を詳細に分析することが重要です。各業務の実行手順、担当者、所要時間といった要素を体系的に整理し、可視化します。
可視化する方法
業務プロセスの可視化には、業務フロー図の作成作業が欠かせません。業務フロー図を作成する大まかな流れは以下のとおりです。
- 業務の洗い出し
- タスクの並べ替えと分類
- スイムレーンへの配置
最初に、業務に携わる担当者や作業項目を特定し、関係部署へのヒアリングを通じて業務の手順を詳細に把握します。次に、洗い出したタスクを時系列で並べ替え、フロー表に記載が必要なタスクと不要なタスクに分類します。
関係者や部署ごとに「スイムレーン」と呼ばれる枠を設け、タスクを配置し、矢印や図形を使い、業務の流れを明確に示しましょう。工数や時間も併せて記載することで、問題のある箇所を把握しやすくなります。また、可視化の作業中に違和感を覚えた部分があれば、必ず記録しておくことが重要です。
2.現状の課題を洗い出す
完成した業務フロー図をもとに、各タスクの問題点や課題を明確にします。不要な作業や非効率な手順がないか、現場で慣習的に行われている作業も含めて丁寧に見直すことが大切です。課題を洗い出す際は、思いつく限りの問題を幅広くリストアップしましょう。
3.改善の優先度を検討・決定する
洗い出した課題に対して、改善の優先順位を決定します。すべてを一度に変更するのではなく、各業務の工数と課題解決における効果の大きさを計算し、価値が大きいものから順に取り組みます。改善における期待値は、人員が多い業務ほど、改善効果が大きくなります。どの業務を改善すればより効果的に生産性を向上できるかを、慎重に検討しましょう。
4.改善目標を設定する
測定可能な目標値の設定をします。具体的には、KGI(重要目標達成指標)とKPI(重要業績評価指標)を明確に定めることで、改善施策の効果を客観的に評価できるようになります。
KGIは最終的に達成すべきゴールを数値で表し、KPIはKGIに到達するための中間目標や監視すべき指標を設定します。人件費の削減率や、業務にかかる時間の削減など、具体的な数値目標を設定しましょう。
5.改善施策を検討・実行する
設定した目標を達成するために、具体的な改善施策を立てて実行します。初めは小規模で効果が出やすいものから着手するのが効果的です。大規模な改善は時間やコストがかかり、現場の負担やモチベーション低下につながる恐れがあります。また、施策を検討する際は、改善効果だけでなく費用対効果も踏まえて、最適な方法を選びましょう。
6.定期的にPDCAを回す
改善策の実行後は、定めた期間を経て結果を評価し、継続的にPDCAサイクルを回します。定期的な見直しと改善を欠かさず行い、着実に進めていくことが重要です。設定したKGIやKPIを基に改善効果を評価し、十分な成果が得られない場合は問題を分析して新たな改善策を立案しましょう。
業務プロセスの改善で押さえたい3つのポイント
業務プロセスの改善を成功させるために重要なポイントを3つ解説します。
業務プロセス改善の重要性を社内で共有・理解を得る
業務プロセス改善には、社内の理解が不可欠です。業務プロセスが変わることで、最初は慣れないことで時間がかかったり、反発心を持つ従業員が出てきたりする可能性があります。
改善施策を実行するために、なぜ改善が必要なのか、どのようなメリットがあるのかを従業員に説明し、理解と協力を得ることで、スムーズに改善を進められます。
改善後の運用サポートも検討・準備する
業務プロセスの変更後は、新しい方法に慣れるまでミスが発生しやすくなります。特に新しいツールを導入する場合は、慣れるまでに数か月の期間を要すると想定しておきましょう。現場の従業員の負担を減らすため、FAQの作成や研修の実施、問い合わせ対応の体制構築など、安定した運用ができるようサポート体制を整えることが必要です。
現場からのフィードバックを活かす
業務プロセスの改善後の効果検証には、数値分析だけでなく現場からのフィードバックを積極的に収集することも重要です。負担が大きい現場にとっては、フィードバックが改善に活かされることで、納得感を得やすくなるでしょう。また、現場の声を聞くことで新たな問題点を発見でき、継続的な改善により、効果的な業務プロセスの構築が可能になります。
業務プロセスの改善に活用できるおもなサービス・ツール
業務プロセス改善を効果的に進めるための、サービスやツールを4つ紹介します。
ITツール
ITツールを活用し、時間のかかるタスクを自動化・簡略化することで、業務時間の短縮だけでなく人的ミスの削減が可能になります。
代表的なツールとして、CRM/MAツール、タスク管理ツール、チャットボット、備品管理ツール、労務管理システムなどがあります。どのようなタスクに時間を費やしているかを確認し、予算に合わせて適切なツールの導入を検討しましょう。
アウトソーシング・BPO
アウトソーシングは業務の一部を外部に委託する手法で、事務処理や顧客対応、受付業務、営業、人材採用などが対象です。一方、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、企画や業務設計、分析まで含めて一括で委託します。自社で業務改善まで手が回らない場合は、BPOの活用が効果的です。
クラウドストレージ
インターネット経由でファイルを保管・管理するクラウドストレージは、部署間での資料共有が迅速になり、場所を問わずデータへアクセスできる環境構築を実現します。従来の紙資料をデジタル化してクラウド上で管理すれば、必要な文書を素早く見つけることが可能です。また、文書探しに費やす時間を大幅に短縮できる点もメリットです。
業務改善コンサルティング
業務改善コンサルティングでは、専門家が客観的な視点で現状を分析し、効率的なプロセス設計や運用方法を提案します。システム導入の支援や改善後の効果検証まで対応しており、自社だけでは難しい改善をスムーズに実現させることが可能です。
まとめ
業務プロセスは、業務の流れを最適化し生産性向上や属人化防止に役立つ重要な仕組みです。可視化から課題抽出、改善の実行、継続的な見直しまで段階的に進めることが成功の鍵です。ツールや外部サービスも活用し、自社に合った改善を行いましょう。
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