こんにちは。BPOサービスを提供するカンテックのライターチームです。RPAシナリオは、ロボットに業務を自動化させるための作業手順です。この記事では、シナリオの基本構造や作成手順をわかりやすく解説します。成功のポイントや作成でつまずいた際の対策も解説しているため、RPAシナリオの作成を検討している人は参考にしてください。
RPAシナリオとは
RPAのシナリオとは、一定の動作を自動化させるための作成手順のことです。以下で、RPAとシナリオの関係や構造、コマンドとの違いについて解説します。
RPAとシナリオの関係や構造
RPAは、パソコン上の定型業務や繰り返し作業をソフトウェアで自動化するツールです。自動化には、人が行っていた作業手順をRPAツールに登録する必要があります。一般的なシステム開発と異なり、RPAはプログラミング不要で、コマンド(ノード)と呼ばれる処理単位を組み合わせることで作業手順(シナリオ)を設定できます。
たとえば「Excelに値を入力する」「Webブラウザを開く」など、操作を部品のように並べていきます。作業手順(シナリオ)の登録が完了すれば、あとはRPAツールを実行するだけで、設定した内容通りに自動で処理が進みます。
コマンドとの違い
RPAにおけるコマンドは、1つの処理を担う最小単位で、作業の部品のようなものです。対してシナリオは、複数のコマンドを順番に組み合わせて作成する、作業全体の流れを示す設計図のようなものです。
なお、シナリオは「スクリプト」や「レシピ」と呼ばれることもあり、一連の作業手順を組み立てる作業を「RPA開発」といいます。
RPAシナリオの作成手順
RPAシナリオを作成する際には、手順を把握することが大切です。以下で、順を追って解説します。
1.シナリオの目的を明確化する
シナリオ作成に取りかかる前に、目的を明確にすることが重要です。まずは、自社の業務のなかでどこに課題があるのかを洗い出しましょう。次に、自動化する範囲を決めることで、効率化や費用削減など、期待できる成果を明確にします。
2.シナリオの設計書を作成する
目的が定まったら、次はシナリオの設計に進みます。まずは業務の手順を箇条書きにまとめるだけで十分です。Excelやスプレッドシートなど、共有・編集しやすいツールを使いましょう。設計書の内容は次の点を意識して見直すことが重要です。
- 無駄な作業が含まれていないか確認する
- 第三者が見ても迷わず理解できる内容になっているかチェックする
- イレギュラーな事態への対応方法も事前に決めておく
上記のポイントを念頭に置くことで、誰が見ても手順通りに進められる、無駄のない設計書が完成します。
3.シナリオを実装する
シナリオ設計書が完成したら、次はRPAツールに設定して実装します。ロボットに手順を覚えさせ、業務を自動で行わせる作業です。実装方法はツールの種類によって異なります。簡易型ツールでは、操作を録画するだけでロボットが作業を学習します。
一方、開発型ツールは、専用画面で手順を組み立てていきます。直感的に操作できる設計のため、特別なスキルがなくても扱いやすいことが特徴です。
4.シナリオ通りに動作するかテストする
シナリオを実装したら、ロボットが正しく動くかを確認するテストを行います。おもなテストは、以下の4つです。
- 単体データテスト:各手順の動作を確認する
- 結合テスト:シナリオ全体の流れをチェックする
- 本番データテスト:実際の環境やデータで動作を試する
- 耐久テスト:長時間・高負荷での安定性を検証する
手順ごとに段階的にテストを進めることで、問題の原因を特定しやすくなります。特に本番データテストは、業務に影響を与えないテスト環境で行うことが重要です。また耐久テストでは、通常の処理量よりも多い負荷をかけて、システムの安定稼働を確かめましょう。テストをしっかり行うことで、運用時のトラブルを防げます。
5.シナリオを保守・運用する
実装後も、定期的に稼働状況を確認しましょう。社内システムやフォルダの変更でエラーが起きることが多く、処理負荷が増えて限界に達する場合もあります。業務に支障を出さないため、メンテナンス体制を整えることが重要です。
RPAシナリオの作成を成功させるポイント
RPAシナリオの作成を成功させるためには、押さえておくべきポイントがあります。以下で、3つのポイントについて解説します。
シンプルなシナリオの作成から始める
まずは、シンプルな業務のシナリオ作成から始めましょう。たとえば、発注書作成の一連の流れが難しい場合は、社内システムへの自動ログインだけを試してみるのがおすすめです。シンプルなシナリオなら、テストでエラーが起きても影響範囲が狭く、原因の特定や修正がしやすくなります。
部分的に自動化を進める
部分的に自動化を進めることも大切です。業務全体を一度に自動化するとシナリオが複雑になり、作成が難しくなります。業務を「データ収集・整形」「検証・エラーチェック」「処理・加工」「結果の出力・保存」などに分け、段階的に自動化を進めましょう。これにより、シナリオ作成に慣れやすく、新たな自動化アイデアも生まれやすくなります。
属人化を防ぐ体制を整える
属人化を防ぐ体制を整えるのも、成功のポイントです。属人化を防ぐには、設計書の作成と複数人でのシナリオ作成・確認体制が不可欠です。RPAは継続的なメンテナンスが必要ですが、特定担当者に依存すると運用が滞る恐れがあります。設計書を整備し、複数人で作成やチェックを行うことで精度が高まり、問題発見や改善も進みやすくなります。
さらに、RPAツールのコメント機能を活用し、意図や目的を共有しておくことも効果的です。
RPAシナリオの作成に行き詰まったときは?
自社でRPAシナリオを作成する際に、行き詰まってしまうこともあるでしょう。ここでは、自社だけでRPAシナリオ作成が難しい場合の対処法について解説します。
操作が簡単なRPAツールを導入する
RPAツールを選ぶ際は、操作性や設計のしやすさが重要なポイントです。特に、ノンプログラミングでシナリオ作成ができるものや、直感的に扱えるUIのツールであれば、ITスキルのない担当者でも運用しやすくなります。
加えて、チャット・電話対応のほか、動画教材や豊富なサンプルが用意されたサポート体制が整っているかも確認しましょう。運用開始後の負担を減らすためにも、誰でも使いやすいツールの導入が効果的です。
シナリオ作成をサポートしてくれる企業に相談する
シナリオ作成をサポートしてくれる企業に相談する方法も効果的です。専門企業は業務内容を丁寧に聞き取り、シナリオ設計まで対応してくれます。使用目的を伝えれば、自社に最適なシナリオを作成してもらうことも可能です。
シナリオ作成を外注する
RPAのシナリオ作成を外注することで、専門知識がなくても精度の高い自動化が実現できます。外注先は、初期設定から運用まで幅広くサポートしてくれる企業や個人が多く存在し、導入をスムーズに進められるのが大きな利点です。
ただし、成果を最大化するためには、業務内容・目的・手順を事前に整理し、外注先に正確に共有することが重要です。次に、外注時にかかる費用の目安について解説します。
外注する場合にかかる費用の目安
シナリオ作成を外注する際の費用は、おもに以下の項目で構成されます。
- シナリオ作成費用
- 設計・要件定義費用
- 納品サポート費用
加えて、RPAツールの利用料も別途必要です。部分的なサポートであれば数万円から対応可能ですが、一般的には20万円以上を見込んでおくとよいでしょう。
また外部エンジニアを常駐させる場合は、月額60万〜150万円ほどかかります。一方、シンプルなシナリオ作成や自社作成のサポートのみであれば、費用を抑えることも可能です。
まとめ
RPAシナリオは、業務自動化を実現するうえで欠かせない設計図です。目的の明確化から設計・実装・テスト・保守まで、段階的に進めることが成功のカギとなります。
また、シンプルな業務から部分的に自動化を進め、属人化を防ぐ体制づくりも重要です。自社での対応が難しい場合は、操作性に優れたツールの導入や、専門企業への相談・外注も視野に入れて、最適な進め方を検討しましょう。
株式会社カンテックは、豊富な経験と幅広いサービス、きめ細やかなサポートを通じて、一連の業務を総合的にサポートしています。特に金融業界のお客様からの信頼も厚く、長期間にわたり取引を継続しています。お気軽にお問い合わせください。