BPR

BPRとは?実施するメリット・デメリットと具体的な手法を解説

こんにちは。BPOサービスを提供するカンテックのライターチームです。BPRは業務フローの抜本的な見直しによる業務の効率化を狙う手法で、近年注目を集めている経営改革手法の1つです。

今回は、BPRの基本から実施におけるメリット・デメリット、具体的な手法までをわかりやすく解説します。BPRを実施するまでの流れも紹介するので、業務改革を検討中の担当者は、ぜひご参考ください。

お問い合わせ・お見積り

Contents
  1. BPRとは?
    • BPRが注目されている背景と成功事例
    • 業務改善との違い
    • DXとの違い
  2. BPRを実行するメリット
    • 業務の効率化
    • 業務フローの最適化
    • 従業員・顧客満足度の向上
    • コスト削減
  3. BPRを実行するデメリット
    • 手間とコストがかかる
    • 従業員の混乱や不満を招く可能性がある
    • 失敗したときのリスクが大きい
  4. BPRの7つの基本姿勢
    • 白紙姿勢(ゼロ・リセット)
    • 経営力と現場力の連携
    • 段階的な成果実現
    • ITの活用
    • 業務・情報面での基盤整備
    • 人材変革の重視
    • 業務改革の徹底実施
  5. BPRで用いられる手法
    • ERP
    • BPO
    • シェアードサービス
    • 業務仕分け
    • RPA
  6. BPR導入までの進め方
    • 1.    計画立案・目的設定
    • 2.    現状分析
    • 3.    戦略プロセスの設計
    • 4.    施策の実施
    • 5.    効果検証
  7. まとめ

BPRとは?

BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)は、既存の業務プロセスを根本から見直し、業務の効率化やコスト削減を図る経営改革手法です。

単なる業務改善ではなく、ゼロベースで業務プロセスを再設計するため、社内ツールの刷新や組織構造の見直しをともなうこともあります。BPRの概念は1990年代にアメリカで提唱され、近年の日本ではDX推進策の一環としても注目されています。

BPRが注目されている背景と成功事例

BPRは1993年、アメリカの大学教授マイケル・ハマー氏と経営コンサルタントジェイムズ・チャンピー氏によって提唱されました。

当時バブル崩壊後の混乱の渦中だった日本では、「BPR=リストラ」の印象が強く、欧米のようには導入が進みませんでした。しかし、近年は少子高齢化や人材不足、DX推進などの流れを受け、再びこの手法が注目されています。

たとえば、地方自治体での業務のペーパーレス化、大企業での経理業務のシェアードサービス化など、業界を問わずに数多くの成功事例が報告されています。

業務改善との違い

業務改善は、既存の業務プロセスにおける課題を分析し、段階的に業務の効率化を図る改革手法です。一方、BPRは現状の仕組みをゼロベースで再設計し、抜本的な改革を行う点が異なります。

たとえば、業務改善が「業務フローの手順を見直す」のに対し、BPRでは「フローそのものを廃止・統合する」ようなイメージです。

DXとの違い

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を活用し、業務フローやビジネスモデル全体を変革する取り組みです。デジタルツールの導入やペーパーレス化により、業務の効率化だけでなく、顧客サービスの向上や従業員のモチベーションアップも狙います。

BPRの施策もDX施策と似た要素を持ちますが、DXとは異なり、業務の効率化やコスト削減に特化しているのが特徴です。

BPRを実行するメリット

BPRによる業務改革を行うことで、企業にさまざまなメリットがもたらされます。

業務の効率化

BPRで業務フローを根本から見直すことで、従業員の負担が軽減され、業務効率を大幅に向上できます。意思決定のスピードが速まり、企業全体の生産性アップも見込めるでしょう。

業務フローの最適化

BPRでは、複数の部署やチームを横断しながら業務全体を整理し、非効率な手順や重複作業の見直しを行います。社内の業務フローが刷新されることで、各部門の連携がスムーズになるほか、業務のボトルネック解消、ミスやトラブルの減少にもつながります。

従業員・顧客満足度の向上

BPRの導入は、従業員の働きやすい環境作りにも一役買うでしょう。効率のよい業務フローは従業員のストレス軽減やモチベーションアップにつながり、結果として顧客サービスの品質向上にも影響します。

コスト削減

業務における無駄を排除し、フロー刷新やIT化を推進することで、長期的な人件費や運用コストの削減にも効果を発揮します。また、BPRによるコストやリソースの再配分は、経営効率の向上にも大きく貢献します。

BPRを実行するデメリット

BPRの導入にはさまざまなメリットがある一方で、いくつかのリスクや課題も伴います。

手間とコストがかかる

BPRは既存の業務プロセスを根本から見直すため、計画の立案から分析・設計・実施に至るまで、膨大な手間やコストがかかります。特に初期段階では、外部コンサルタントの活用やITシステムの導入費用なども必要になるため、十分な予算とリソースの確保が欠かせません。

従業員の混乱や不満を招く可能性がある

BPRは業務の進め方や職務分担を大きく変更するため、従業員の混乱や不満を招く可能性があります。特に、長年従来のやり方に慣れている従業員は変化に対する抵抗感が強くなりやすいため、十分な説明とフォローを行いましょう。

失敗したときのリスクが大きい

BPRは企業全体で業務改革を行うため、戦略設計や導入に失敗した場合の影響も甚大です。短期間では効果が現れにくいため、実施途中での中止も判断しにくいといえます。実施する際は、必ず成功に導けるよう、入念な準備を重ねておくことが求められます。

BPRの7つの基本姿勢

BPRは全社的な業務改革のため、混乱や難しい判断がつきものです。日本能率協会コンサルティングが提唱する「7つの基本姿勢」は、そうした課題を乗り越えるための指針として重要です。ここでは7つの基本姿勢を紹介します。

白紙姿勢(ゼロ・リセット)

BPRの実施においては、既存の枠組みにとらわれず、業務プロセスをゼロから見直す「白紙姿勢」が求められます。従来の常識や慣習に依存せず、新たな可能性を探ることで、本質的な業務改革をおこなえます。

経営力と現場力の連携

BPRを成功させるには、経営層の意思決定と現場の実行力を連携させることが重要です。トップダウンの方針だけでは現場の納得を得られず、現場主導だけでは経営ビジョンを見失ってしまいます。両者が協力し合うことで、継続性の高い業務フローが実現できます。

段階的な成果実現

BPRでは、一度に結果を求めるのではなく、段階的に成果を出していくことが大切です。初期段階では取り組みやすい業務から改善を始め、成果を確認しながら範囲を広げていくことで、組織全体の納得感や協力意識が高まります。

ITの活用

BPRの導入では、ITの活用が欠かせません。デジタルツールの導入による業務の自動化を図ることで、効率化と品質向上を同時に実現できます。古い慣習にとらわれることなく、最新技術を積極的に取り入れる姿勢が重要です。

業務・情報面での基盤整備

BPRを効果的に進めるには、業務と情報の基盤をしっかりと整備する必要があります。既存の業務フローやルールを整理し、情報の流れを可視化することで、課題や改善ポイントが明確になります。

また、大幅な業務の刷新においては、社内のデータベースが盤石であることが求められます。

人材変革の重視

BPRの成功には、従業員の意識改革やスキル向上も欠かせません。企業全体で新しい業務プロセスに対応できるよう、研修の実施や適切な人材配置を行うことはもちろん、従業員の主体性の向上も求められます。

業務改革の徹底実施

BPRを形だけで終わらせないためには、業務改革を徹底して実施する覚悟が必要です。既存のやり方に固執せず、課題を根本から見直す姿勢が求められます。また、改革後も継続的な改善を行い、業務プロセスを定着させる必要があります。

BPRで用いられる手法

BPRを効果的に実施するためには、目的に応じた適切な手法を活用することが求められます。ここからは、BPRで用いられる5つの代表的な手法を紹介します。

ERP

ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)は、企業が保有する金・人材・物などの業務情報を一元管理する手法です。部門ごとに分断されていた情報を連携させ、企業全体のデータベースに一元化することで、業務の効率化や意思決定のスピードアップを狙います。

BPO

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、社内における業務プロセスを一括して外部に委託する手法です。人事・経理・カスタマーサポートなどの定型業務を外部に任せることで、社内のリソースをコア業務に集中させることができます。

シェアードサービス

シェアードサービスとは、複数のグループ企業や部署間の定型業務を1拠点に集約させる手法です。大企業で用いられることが多く、重複する業務の削減や品質の標準化に効果的といわれています。

業務仕分け

業務仕分けは、組織内の全ての業務を洗い出し、それぞれの役割・目的・必要性などを明確化する手法です。BPOの初期段階で行われることが多く、既存業務の視覚化や改善点の発見につながります。

RPA

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、定型的かつ反復的な事務作業をソフトウェアロボットに代行させる仕組みです。業務の自動化により、ミスの削減・処理速度の向上・業務品質の向上などが期待できます。

BPR導入までの進め方

最後にBPRを導入するまでの具体的なステップを紹介します。

1.    計画立案・目的設定

はじめに、BPRを行う目的と達成目標を設定しましょう。目標は数字を用いて明確に定め、具体的なスケジュールも決めておくとスムーズです。

2.    現状分析

業務フローの改善に先立ち、現状の業務プロセスを正確に把握しておく必要があります。現場でのヒアリングや業務フロー図の作成などを通して、解決すべき課題やボトルネックを分析しましょう。

3.    戦略プロセスの設計

現状分析の結果をふまえ、戦略プロセスの設計を行います。目指すべき姿を具体化しながら、ITツールの導入・外部リソースの活用・組織再編などの施策を検討しましょう。

4.    施策の実施

設計した戦略プロセスを現場に導入し、実際に業務改革を実行します。導入に先立ち、マニュアルの整備や社内研修などを行うことで、従業員がスムーズに変化に対応できるでしょう。

5.    効果検証

導入から一定期間が経過したら、BPRによる成果を測定し、定量・定性の両面から評価します。当初の目標が達成できているか評価したうえで、改善点の分析や得られた知見の共有も行いましょう。

まとめ

BPRは業務を根本から見直し、効率化やコスト削減を実現する改革手法です。業務効率や従業員満足度を高められますが、初期コストや従業員の抵抗など課題もあります。紹介した「7つの基本姿勢」を意識し、適切な手法を選んで段階的に導入することが重要です。

カンテックは創業50年以上の実績を持ち、独自の「カンテック方式」やAI-OCR、RPAなどの最新技術を活用して高品質なBPOサービスを提供しています。また、金融業界を中心に幅広い業務の効率化と安全な運用を支援し、業務改革の実現に貢献しています。BPR導入の際にはぜひご相談ください。

お問い合わせ・お見積り