こんにちは。BPOサービスを提供するカンテックのライターチームです。
データエントリー(データ入力)は、近年の企業活動において重要な業務プロセスです。この記事では、データエントリーの基本知識から入力方式の種類、サービス導入のメリットなどを金融業界のBPO担当者に向けて解説します。業務効率化や品質向上のポイントを押さえ、最適なデータエントリーサービスの選定にお役立てください。
- データエントリーの基礎知識
- データエントリー業務の主要な方式
- データエントリー業務の課題
- データエントリーサービスとは
- 入力代行型サービス
- AI-OCR自動化タイプ
- 半自動型アウトソーシングタイプ
- データエントリーサービス導入のメリット
- データエントリーサービスの選定ポイント
- データエントリーサービスの最新動向と将来展望
- AI・自動化技術の進化
- クラウドベースプラットフォームの普及
- データセキュリティ強化
- カンテックの独自開発「連想入力方式」
- まとめ
データエントリーの基礎知識
データエントリーは、紙媒体や画像データに記載された情報を、テキストデータとしてパソコンに入力する作業です。たとえば、取引先からの請求書や伝票などの紙媒体情報をExcelや会計ソフトにデータ化する業務が該当します。
以前は「データ入力」や「パンチ入力」という表現も使われていましたが、現在は、これらの作業を総称して「データエントリー」と呼ぶことが一般的です。
データ入力・パンチ入力との違い
データエントリーと似た用語に「データ入力」や「パンチ入力」がありますが、それぞれに違いがあります。
「パンチ入力」という言葉は、コンピューターが普及する以前に誕生しました。当時は、キーパンチ機(またはカード穿孔機)を使用し、硬質紙に穴をあけて情報を記録していました。この作業の一連の動作から、「パンチ(=打つ、穴をあける)」という単語を用いた「パンチ入力」という言葉を使用していました。
一方「データ入力」という言葉は、コンピューターを使用して文字データを生成する作業に由来しております。そのため、パソコンの普及とともに「パンチ入力」から「データ入力」という言葉を使用することが一般的になりました。
そして近年では、「データ入力」の後継として、アナログからデジタルへの情報変換における、包括的なプロセスを指す「データエントリー」という言葉を使用するようになりました。
データエントリーの活用場面
データエントリーはさまざまな業務で活用されています。たとえば、金融機関や販売サービスの申込書や契約書、アンケート、名刺などが一般的です。また、古文書や図面など、画像データとしてアーカイブ化したデータからテキスト情報を取得したい場合にも活用することができます。
大量のテキストデータを取得できるため、顧客情報の管理や、データ分析にも活用できます。
データエントリー業務の主要な方式
データエントリー業務には、入力精度を確保するためのおもな方式が2種類あります。それぞれ解説します。
エントリー・ベリファイ方式
入力(エントリー)担当と検査(ベリファイ)担当の2人のオペレーターが、データ処理を行う方法です。入力担当者がデータをエントリーした後、検査担当者がベリファイ入力を実施します。両者の入力結果が一致すれば完了となり、不一致の場合は検査担当者が相違箇所を確認して修正します。この2段階プロセスにより入力ミスを効果的に減らすことが可能です。
エントリー・エントリー・コンペア方式
「ダブルエントリー・コンペア方式」とも呼ばれる方法で、2人のオペレーターがそれぞれ独立してデータエントリーを行い、3人目のオペレーターが両者のデータを照合する方式です。2つのデータが一致していれば完了となりますが、相違箇所がある場合は元の資料と照合して正しい内容に修正します。
データエントリー業務の課題
データエントリー業務には、作業効率と精度のバランスを保つためのさまざまな課題があります。以下でおもな5つを解説します。
納期短縮と正確性の両立
データエントリー業務は、大量の書類を限られた時間内で処理しなければなりません。短期間でミスなく処理することが常に求められます。単調な作業ながらも高い集中力を維持し、精度を保ちつつ効率的に業務を遂行する必要があります。
セキュリティ対策
データエントリー業務では、個人情報を含む重要データを扱うことが多く、情報漏えいのリスクが常に存在します。契約書や申込書など、機密性の高い情報を扱う場合は特に注意が必要であり、安全な作業環境の構築が不可欠です。
業務量の増減に対応した体制構築
データエントリー業務は、繁閑の差が大きく、業務量の予測が困難です。繁忙期に合わせた体制では閑散期に余剰コストが発生し、少人数体制では繁忙期に対応できません。業務量変動に柔軟に対応できる体制構築が課題です。
データ入力作業者の確保
スピードと正確性を両立するスキルを持つ人材確保は容易ではありません。採用強化や教育研修の充実だけでなく、使いやすいシステム導入で幅広い人材を短期間で戦力化することも重要です。
ミス発生時の対策
データエントリーのミスは、後続業務すべてに影響します。誤情報がそのまま処理されると信用問題にも発展するため、複数人によるチェック体制構築や、定期的な休憩を取り入れた作業環境整備などが必要です。
データエントリーサービスとは
データエントリーサービスとは、紙媒体や画像データのテキストデータ化業務の負担軽減を目的としたサービスです。従来は従業員リソースを割いていましたが、現在は代行や自動化サービスにより生産性向上が可能になっています。DX推進の第一歩として注目され、OCR技術向上やデータ一元管理によるビッグデータ活用の基盤づくりにも貢献しています。
入力代行型サービス
入力代行サービスは、専門スタッフがデータ入力を行う方式です。さまざまな形式の文書や複雑な判断を要する入力にも対応できる柔軟性が特徴です。自動化が難しい案件も正確に処理でき、スキャニングや仕分けなどの付随業務も含めて依頼できます。
AI-OCR自動化タイプ
AI-OCR自動化タイプは、最新のAI技術を活用した自動データエントリーサービスです。従来のサービスより文字認識精度が向上し、90%以上の精度で手書き文字にも対応します。低コストで大量のデータ処理が可能で、他システムとの自動連携により、業務プロセス全体を自動化できます。
半自動型アウトソーシングタイプ
半自動型アウトソーシングタイプは、AI-OCRの自動認識とオペレーターの確認・修正を組み合わせた方式です。高速処理と高精度を両立させ、コスト・品質のバランスに優れています。中〜大規模の定型業務に適しており、AI-OCR単独よりも高精度です。
データエントリーサービス導入のメリット
データエントリーサービスの導入により、企業の業務効率化や人材リソースの最適化を実現できます。以下でおもな5つのメリットを解説します。
入力作業の効率化と精度向上
データエントリーのプロが専用端末や専用キーボードを使用することで、入力作業のスピードと正確性が向上します。社内処理よりも高精度かつ短期間で成果物提供が実現します。
人材の有効活用と人件費の抑制
データエントリー作業は単調でありながらミスが許されない業務です。この作業を外部委託することで、社内人材はコア業務に集中でき、生産性向上につながります。また、繁忙期と閑散期で業務量に差がある場合、必要に応じた外部発注により柔軟なコスト調整が可能になります。
データ化による情報資産の有効活用
社内の紙書類をデータ化することで、事業に役立つ情報資産として活用できます。タイトルや担当者など情報を抽出して効率的に分類し、管理・活用しやすい状態で保管が可能です。特に会計書類のデータ化は検索性が向上し、電子帳簿保存法への対応も実現します。
入力オペレーターの作業実績把握
データエントリーのシステムでは、オペレーターの実績データを収集できます。誰が何をどれだけ入力したかという時間あたりの生産性の情報を活用し、作業分担の最適化や個々のオペレーター研修に役立てることができます。客観的な実績把握で、継続的な業務改善が可能です。
高精度チェック体制によるミス防止
データエントリーサービスではクロスチェックやロジックチェック、目視チェックなど、入力ミスを防止するための多層的なチェック体制が整備されています。多くのデータエントリーサービスで、99%以上の正確性を実現しています。社内でマニュアル作成や人材教育をする手間がなく、高品質なデータ処理が可能です。
データエントリーサービスの選定ポイント
データエントリーサービスの選定には、業務特性に合わせた比較検討が必要です。以下で、おもな3つのポイントを解説します。
データ化の対象範囲と精度
さまざまな媒体やフォーマットに対応できるワンストップサービスが便利です。精度面では、エラー率の低さや品質管理プロセスの堅牢性を確認しましょう。AIと人的チェックを組み合わせたハイブリッドアプローチを採用しているサービスは、AIのみで処理を行った場合よりも高い精度を実現できます。また、複数の入力者による確認プロセスを持つサービスは、特に高精度なデータ化が実現できるため、信頼性が高いと言えます。
入力方式の柔軟性とデータ化スピード
業務量や納期に応じて入力方式を選択できるサービスが効率的です。単位時間あたりの処理量やピーク時の対応能力を評価し、また業務によっては、土日稼働や深夜対応が可能かも確認すると良いでしょう。
契約形態の柔軟性
データエントリー業務は繁閑の差が大きいため、月単位など業務量変動に対応できる契約形態がコスト効率を高めます。クラウドベースのサービスは必要に応じて処理能力を調整できるため、短期的な業務変動や長期的な事業成長にも適応しやすいでしょう。また、導入後の課題に迅速に対応できるメーカーの実績も重要な選定ポイントです。
データエントリーサービスの最新動向と将来展望
データエントリーサービス市場は2032年まで年率11.8%での成長が予測され、DX推進を追い風に今後も情報処理アウトソース市場は拡大見込みです。以下で解説します。
※参考:Data Entry Service Research Reports | Get Customized Market Research Report
※参考:情報処理アウトソースサービス業界 市場規模・動向や企業情報 | NIKKEI COMPASS
AI・自動化技術の進化
機械学習や自然言語処理を活用した自動化技術により、データエントリーの精度と効率が向上しています。AI-OCRの認識精度は大幅に改善され、業界大手も継続的な技術革新に投資を進めています。
クラウドベースプラットフォームの普及
クラウドベースのサービスが急速に普及し、リモート作業の効率化が進行中です。中堅・中小企業への利用拡大が顕著で、データセンターの増築といった基盤整備も進み、特定業務に特化したサービスも成長しています。
データセキュリティ強化
データ保護法の厳格化に伴い、セキュリティ対策が再重要視されています。金融業界での決済プラットフォーム共同運用など、高度なセキュリティが求められるサービスも登場し、関連投資も増加傾向です。
カンテックの独自開発「連想入力方式」
株式会社カンテックでは独自の「連想入力方式」を開発し、日本語情報処理のスタンダードとして全国で採用されています。双日テックイノベーション社と共同開発したNE-KANTEXにより、オペレーターは1時間に6,000〜8,000文字の高速入力を実現しました。50年以上にわたり、官公庁や大手金融機関のデータベース構築に貢献しています。
まとめ
データエントリーは、単なる入力作業ではなく、デジタルデータとして活用するための包括的プロセスです。精度とセキュリティの両立が重要であり、確実なチェック体制が効果的です。専門サービスを活用することで、自社リソースによる対応では難しい部分も効率的に運用できます。
株式会社カンテックでは、高品質なデータエントリーサービスを提供しています。国内に事業所を持ち、在宅作業を使用しないため、高度なセキュリティが確保され、納品まで一連の作業を包括的に対応できる体制を整えています。特に金融業界の企業とは、長年の取引実績があります。
データエントリー業務の課題解決や効率化の悩みは、ぜひお気軽にお問い合わせください。